医療法人・開業医の法人カード活用ガイド:個人クリニックとの違いは?
クリニックを開業する医師にとって、医薬品卸や医療機器のリース料、消耗品費など、支払いの種類は一般的な事業者よりも多岐にわたります。この記事では、個人開業医と医療法人それぞれの立場から、法人カード(ビジネスカード)を検討する際に押さえておきたいポイントを整理します。法人カードの基本的な位置づけについては法人カード・ビジネスカードとは?個人カードとの違いもあわせてご参照ください。
個人開業医と医療法人で申し込み方が変わる
クリニックの経営形態は、大きく分けて「個人事業主として開業している段階」と「医療法人化している段階」の2つがあります。この違いによって、法人カードの申し込み方も変わってきます。
個人開業医の場合
医療法人化する前の個人開業医は、税務上は個人事業主にあたります。そのため、法人代表者専用のカードではなく、個人事業主も申込対象に含むカードを選ぶ必要があります。個人事業主が法人カードに申し込む際に見られやすい要素は個人事業主でも法人カードは作れる?で解説しています。
医療法人の場合
医療法人化すると、株式会社などと同様に法人としての申し込みになります。ただし医療法人は株式会社と異なり、剰余金の配当が禁止されているなど収益構造に特有の制約があります。この違いから、審査で確認される書類や見られるポイントが、一般的な株式会社とは一部異なる場合があります。非営利性の高い法人が法人カードを申し込む際の考え方は一般社団法人・NPO法人でも法人カードは作れる?の記事も参考になります。
審査で見られやすいと言われる要素
カード会社は審査基準を公表していないため断定はできませんが、一般的に次のような点が確認されると言われています。
開設・設立からの期間
クリニック開設や医療法人設立からの年数は、事業の継続性を測る要素のひとつとされます。開業したばかりの時期は実績が少ないため、この点だけで見ると不利に働きやすいとされていますが、設立年数の要件を設けていないカードもあります。
代表者(理事長・院長)個人の信用情報
医療法人であっても、代表者である理事長や院長個人の信用情報が確認される場合があります。過去の支払い状況が影響する可能性がある点は、他の法人格と変わりません。信用情報の基本的な考え方はクレジットヒストリー(信用情報)とは?をご覧ください。
開設の根拠となる書類
個人開業医であれば保健所への開設届、医療法人であれば定款や登記事項証明書など、事業の実態を確認できる書類の提出を求められることが一般的です。申込先のカード会社ごとに必要書類が異なるため、事前に確認しておくとスムーズです。
クリニック経営で法人カードを使うメリット
医薬品卸・医療機器リースなど固定的な支払いをまとめられる
クリニックでは、医薬品や診療材料の仕入れ、医療機器のリース料など、毎月ある程度まとまった金額の支払いが発生します。これらを法人カードにまとめることで、経費の全体像を把握しやすくなります。1枚のカードで経費を管理する考え方については事業用の支払いを1枚のカードにまとめるメリットと注意点で解説しています。
経理担当者用に追加カードを発行できる
院長自身がすべての支払いを行うのではなく、事務長や経理担当のスタッフが立て替え払いをしているクリニックも少なくありません。従業員用の追加カードを発行できるサービスを利用すれば、立て替え精算の手間を減らせる場合があります。詳しくは法人カードに従業員用の追加カードを発行するメリットをご覧ください。
会計ソフトとの連携で記帳の手間を減らせる
利用明細を会計ソフトと連携できるカードを選べば、仕入れや経費の記帳作業を効率化しやすくなります。医療法人の場合は決算書類の作成も煩雑になりがちなため、連携機能の有無は選定時にチェックしておきたいポイントです。連携の考え方は法人カードの利用明細を会計ソフトと連携する方法で解説しています。
開業直後で審査に不安がある場合
開業したばかりで事業実績がまだ少ない場合、法人カードの審査に不安を感じる方もいます。その場合、デポジット(保証金)を預けることで審査のハードルを下げるタイプのカードなど、個人向けに用意された選択肢を参考にする方法もあります。仕組みの詳細はデポジット型クレジットカードとは?で解説していますので、開設直後で事業実績の証明が難しい時期のつなぎとして参考にしてみてください。
申し込み前に確認しておきたいこと
- 個人開業医か医療法人かによって、申込対象や必要書類が変わること
- 開設・設立からの年数の要件があるかどうか
- 経理担当スタッフ用の追加カードを発行できるか
- 会計ソフトとの連携機能があるか
年会費や還元率などの数値は変更される場合があるため、申し込み前に必ず各カード会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ
クリニックの法人カード選びは、個人開業医か医療法人かという経営形態によって申し込み方や見られるポイントが変わります。医薬品卸や医療機器リースなど固定的な支払いをまとめられる点、追加カードや会計ソフト連携で経理の手間を減らせる点はメリットですが、開設・設立年数や代表者個人の信用情報が見られる点には注意が必要です。自院の経営形態と実績を踏まえ、申込条件に合ったカードを比較検討しましょう。