動物病院を開業する獣医師向け、事業用クレジットカードの選び方
獣医師として独立し、個人で動物病院を開業した方の中には、「事業用のカードを作るべきか」「どんな場面で役立つのか」と考える方も多いのではないでしょうか。動物病院の経営には、人の医療機関とは異なる特有の事情もあります。ここでは、動物病院経営における事業用カードの役立ち方と、申し込み時に確認しておきたいポイントを解説します。法人カード・ビジネスカードの基本については、法人カード・ビジネスカードとはの記事もあわせてご参照ください。
動物病院の開業・運営で事業用カードが役立つ場面
医薬品・診療材料の仕入れ
動物病院では、ワクチンや駆虫薬、点滴・注射などの診療材料を定期的に仕入れる必要があります。仕入れ先の多くは卸業者のオンライン発注にも対応しており、事業用カードでまとめて支払うことで、月ごとの仕入れコストを把握しやすくなります。
院内で販売するペットフード・ペット用品の在庫
処方食や療養食、サプリメントなどを院内で販売している場合、その仕入れも事業用の支出です。診療材料の仕入れと分けて管理したい場合は、カードの利用明細にメモを残す、または用途別にカードを分けるといった工夫も考えられます。
予約システム・電子カルテ・顧客管理のサブスク費用
近年は、オンライン予約システムや電子カルテ、飼い主向けの診療履歴アプリなど、月額課金のサービスを導入する動物病院が増えています。こうしたサブスクリプション費用をカードでまとめて支払うことで、契約状況を管理しやすくなります。サブスク全般とカードの関係については、サブスクリプションサービスとクレジットカードの相性の記事も参考になります。
医療機器のリース料や内装・広告費
レントゲンや超音波診断装置などの医療機器のリース料、開業時の内装工事費、ポータルサイトへの掲載費用・SNS広告費なども、事業用カードで支払える場合があります。生活費用のカードと分けておくことで、開業初期の資金の流れを把握しやすくなるでしょう。
個人事業主・法人どちらでも申し込みの対象になる
動物病院を個人事業主(開業届を提出した状態)で経営している場合も、法人化している場合も、事業用カードの申し込み対象になります。屋号を入れたカードを作りたい場合の考え方については、屋号入りのクレジットカードは作れる?の記事もあわせてご参照ください。開業直後の個人事業主が法人カードに申し込む際に見られやすい点は、個人事業主でも法人カードは作れる?の記事にまとめています。
「医療法人」にはならない点に注意
人の医療機関の場合、個人クリニックを法人化すると「医療法人」という特別な法人形態になります(関連記事: 医療法人・開業医の法人カード活用ガイド)。一方、獣医療は医療法の対象外であるため、動物病院を法人化する場合は株式会社や合同会社といった通常の法人形態になります。カード会社によっては申込書類の記入項目が異なることがあるため、法人形態に応じた案内を確認しておくとよいでしょう。
人の医療機関とは異なる資金の流れ
人の医療機関が保険診療を行う場合、保険者からの診療報酬(療養費)の入金は診療から1〜2か月程度遅れることが一般的です。一方、動物の診療は基本的に自由診療であり、公的な健康保険制度の対象外です。そのため、診療費は診療当日に飼い主から直接受け取る(現金・カード払いなど)ケースが多く、人の医療機関のような入金タイムラグが生じにくいという違いがあります。
ただし、飼い主が民間のペット保険に加入している場合、保険会社が動物病院へ直接保険金を支払う「窓口精算」に対応しているケースもあり、この場合は一定の入金タイムラグが発生します。自院がどの支払い方式に対応しているかによって、資金の流れは変わってきます。
審査で確認されやすいポイント
開業からの期間
開業したばかりの時期は、事業の継続年数という点で実績が少ないため、審査で不利に働きやすいと言われています。法人カードの審査全般で確認されやすいポイントについては、法人カードの審査に通りやすくなる条件とはの記事で解説していますので、あわせてご参照ください。
開業者個人の信用情報
個人事業主として開業している場合、開業者個人のクレジットヒストリー(信用情報)が確認される可能性があります。基本的な考え方はクレジットヒストリー(信用情報)とは?の記事で解説しています。
自宅兼診察室の場合は事業実態の証明が必要になることも
自宅の一部を診察室として使っている場合、開業届の控えや賃貸借契約書、動物診療施設の開設届の写しなど、事業実態を示す書類の提出を求められることがあります。あらかじめ必要書類を確認し、不備なく準備しておくとスムーズです。
スタッフ用の追加カードも検討できる
受付や動物看護師など複数人で経理処理を行う動物病院では、従業員用の追加カードを発行することで、立て替え精算の手間を減らせる場合があります。メリットと管理のポイントについては、法人カードに従業員用の追加カードを発行するメリットの記事もあわせてご参照ください。
経費管理のコツ
診療材料費・ペット用品の仕入れ・設備のリース料などを生活費と分けて管理することで、確定申告や決算時の経費算出がしやすくなります。フリーランス・個人事業主全般の経費管理については、個人事業主が経費をクレジットカードで管理するメリットとはの記事や、複数の事業用支出をクレジットカードで一元管理するコツの記事もあわせてご参照ください。
こんな方におすすめ
- 獣医師として独立し、個人で動物病院を開業した方
- 診療材料・ペット用品の仕入れやサブスク費用を事業用として分けて管理したい方
- 人の医療機関とは異なる資金の流れを踏まえてカードを選びたい方
まとめ
動物病院の経営にとって、事業用カードは診療材料やペット用品の仕入れ、サブスク費用、医療機器のリース料などを分けて管理するうえで役立つ存在です。獣医療は医療法人の対象にならない点や、自由診療のため人の医療機関とは資金の流れが異なる点を踏まえ、自分の事業スタイルに合ったカードを検討してみましょう。年会費や特典の内容は変更される場合があるため、申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。